聴覚情報処理障害APDについて(第2報)

夏本番の暑い日が続いています。

 

以前もブログでご紹介いたしましたが、聴覚情報処理障害のお話です。

皆さんは普段何気なく会話している言葉が急にはっきり聞き取れなくなったらいかがですか?

それはちょうど、異国の地で言葉がわか らない状況に似ています。“聞こえているのに何を言っているのかわからない“、音は聞こえているのに靄(もや)がかかったように言葉 が聞こえる。近年これらの症状で困っている人が意外と多いことが明らかになり、テレビなどで”聴覚情報処理障害(APD)“という言 葉を耳にした方も多いと思います。 マスク生活や雑音下、多くの人が同時にお話しする環境(会議など)で症状がはっきりしてきます。文字などの視覚情報があると理解でき る事が多く、初めて聞く単語や人の名前の理解が難しい様です。

 

この疾患は例えるなら足が遅い人(遅足症)で困っている人と似ており、歩けない(難聴)までは困らないが、日常生活のさまざまな状況で足の遅さ(聞こえにくさ)は問題となり本人には大 問題です。中にはADHDなどの発達障害を伴う場合もあります。診断のための検査は聴力検査、言葉の聞き取り検査、問診 が中心ですが、より正確な診断には大学でさらにいくつかの精密検査を行います。当然聴力検査はすべて正常です。 当院では九州大学耳鼻咽喉科のご協力でAPDの早期発見に努めています。診断書を希望されるときは大学を紹介しますので遠慮なく医師までご相談ください。有効なお薬や治療はないものの、言語療法で改善する場合もあります。診断がつけば、職場や学校の環境整備を検討することが最も重要です。かなりの方にこれらの症状があるとされていますが、正確な病態・原因などまだ不明な点も多く、診断基準もまだ準備されておりません。

今後の研究により正確な病態と治療法の確立が待たれます。

 

2022年08月07日