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顔面神経麻痺は耳鼻科受診ってほんと?

顔面神経麻痺とは主として片側の顔の動きが悪くなり、目が開きっぱなしになる(兎眼)、口元からものがこぼれるなどの不快な症状が生じる病気ですが、ほとんどが末梢性(脳に異常がない)麻痺です。顔の痺れ以外に口がまめらない、片側の手足の痺れがあるなどは脳の病気を疑いますのでまずは至急頭の画像診断を受ける方がいいのですが、他には何もないのに顔の痺れだけがある場合にはまず耳鼻咽喉科受診を考えてください!

なぜ耳鼻科が専門性が高いかというと、顔面神経麻痺の大半は耳鼻科領域の炎症(顔面神経炎)に原因があり、顔面神経の側にある蝸牛神経に炎症が起こると聞こえが悪くなりますし、前庭神経の炎症はめまいを生じます。また耳の中に水疱形成があったり耳たぶが赤く痛くなるなど、耳鼻科の診察が病気の原因を予測する材料となることが多いのです。

検査も、めまい検査、聴力検査の他、特徴的なのは顔面神経から枝として分岐する鼓索神経(味覚)、大錐体神経(涙の分泌)、あぶみ骨筋神経(大音響の反射的防御)などから顔面神経の原因や炎症の強い場所を推測することも可能です。また、顔面神経麻痺の治りを予測する検査(ENoG検査)で症状出現後1週間以降の状況で電気刺激を行い、治療方針の決定に役立ちます。

治療は入院でステロイド点滴を行ったり、外来で抗ウィルス薬を内服したりします。治りの悪い可能性が高い時は顔面神経管解放術という耳科手術を行う場合もあり、耳鼻咽喉科が専門性が高いと言えます。

治療効果は発症後いかに早く治療を開始するかに関係するので、顔が痺れたらとにかく早く病院を受診することをお勧めします。

 

気象の関係か飛行機雲が綺麗でした!

 

2025年05月27日
亜急性壊死性リンパ節炎:菊池病(若い女性の痛い首のしこり)

首は髭を剃ったりネックレスをつけたりと比較的日常生活で触れることの多い場所です。通常首には”見張りリンパ節”が存在し、口や喉などの頭頸部の炎症に反応して大きくなったり小さくなったりを繰り返しています。

虫歯や口内炎ではしばしば顎の下にグリグリができ、抑えると痛い場合もありますが、これはもとの病変が縮小すれば次第におさまってくるのが特徴です。つまり炎症によるリンパ節病変の診断は時間を空けて再度診察を受けることが重要です!

 

亜急性壊死性リンパ節炎は1972年に我が九州大学の菊池先生が多数のリンパ節生検の標本を検討し、悪性リンパ腫と紛らわしいものの、良性のリンパ増殖性病変として報告したことが発端とされる病気であり、現在も国際的には名前を取って”菊池病”と呼ばれます。片側の痛みを伴うリンパ節腫大が特徴で、20歳から40代までの比較的若い女性に多く、比較的長い数週間の腫れで病院を受診されます。エコーで片側の癒合する多数のリンパ節があり、発熱、圧痛が中心です。抗生剤が無効、ステロイドがよく効きますが、先に悪性の除外を行うことが最も重要です。そのため、紛らわしい場合には針を刺して細胞を検査する細胞診も行います。

 

私は4年間九大病理学でリンパ節生検の病理診断を行ってきましたが、組織学的には様々な細胞が入り乱れて”多彩な”病理像をし呈します。悪性リンパ腫は均一な印象ですので生検で診断をつけますが、自然に縮小することが多いためしばらく対症療法でフォローすることが多いです。菊池病は自己免疫によるものと考えられており、人に感染ることはありません。

 

当院はがん治療認定医の院長が高性能エコーを用いて首のしこりの診断をつけます。

毎週火曜日午後は腫瘍外来で首のしこりのセカンドオピニオンを受け付けています!もちろんそれ以外の日でも診察させていただきますが、お話しする時間を取りたいので、土曜日以外にご来院いただければ幸いです。 (さらに…)

2025年04月08日