はなの症状

はなの症状でお困りですか?
鼻が調子悪い、頭痛、顔が痛い、重たい、においがしにくいなど、鼻や顔の症状、とくに頭痛は辛いものです。私も小さい頃蓄膿症があり、小学校の頃にはバスで40分かかる耳鼻科がいいと聞き、しばらく通院した記憶があります。
鼻の治療は耳、のどと並んで耳鼻科の根幹をなす領域で、先生方がもっとも工夫されている領域です!より専門的な知識が必要です。
当院は最新式のCTを備えていますので、大病院レベルの緻密な診断が可能です。特に当院のCTは被爆が通常の10分の1と非常に体にやさしいのに解像度はそれ以上という特徴があります。
はな
はなの解剖

くしゃみ、鼻水、はなづまり(アレルギー性鼻炎)

くしゃみ、鼻水、はなづまりはアレルギー性鼻炎の3主徴といわれます。そもそも”アレルギー”ってなんでしょうか?

アレルギーとは?

”アレルギーがある””アレルギー体質”など世の中ではよく”アレルギー”という表現を使いますが、どちらかというと”悪者”扱いです。しかし、もともとは異物に対する人間のもつ”防御反応”の一部が暴走、過剰に反応してからだに負担をかけるものをアレルギーと呼ぶのであって、防御反応としての免疫は人間に不可欠なもののはずです。本来はきちんとその意味を理解して治療に当たらねばなりませんが、どうもアレルギーに間違った理解があるようです。
例えば、”鼻水”はとめなくても良いし、それをおさえるお薬は使う必要がないという意見があります。これは本当でしょうか?
答えはアレルギー反応の本質に関係があります。
免疫には2つのシステムがあり、一方をTh1他方をTh2と呼びます。
Th1はおもに有用な反応に関わり、例えば細菌やウィルスといった外敵に対して、鼻の場合は鼻水や粘液で洗い流したり、熱を起こして炎症で駆逐したりする正常の防御反応です。こちらは”意味のある反応”といえます。
Th2がアレルギーに関係し、抗原であるホコリや花粉に過剰に反応し、尋常ではないくしゃみや鼻水で異物を除去する反応です。アレルギー性鼻炎や喘息もこちらにあたります。アレルギー性鼻炎や喘息はこれらが過剰に働いたもので”無駄な反応”といえるのです。
ちょっとひとこと
こどもの鼻水、とめない方がいいの?
こどもが鼻水を垂らしているのが普通だった、昭和の時代。袖で拭いて叱られるこどもをよく見かけたものです。平成の世の中では緑色の鼻を垂らすこどもは減ったと思いますが、風邪を引けばこどもはすぐ鼻を垂らします。先ほどお話しした通り、鼻水は異物を洗い流す働きも兼ねているため、必ずしも完全に無くす必要はありませんが、鼻が詰まって眠れない程の鼻水は体力を奪いますので止めた方がいいと言えます。鼻水、くしゃみ、鼻づまりが辛いアレルギーは”無駄な反応”ですので止めた方がいいと言えますのでその辺のさじ加減が難しいところです。私は、鼻を自分でかめないこどもには、物理的にきちんと奥まで吸引し、薬で鼻水の量を減らした方がいいと思います。もちろん、黄色い鼻水は細菌の感染が疑われますので抗生剤が必要です。

アレルギー性鼻炎の原因は?

アレルギー性鼻炎はくしゃみ、鼻水、鼻づまりの3つの症状を生じる病気で、いまや国民病といわれています。都市化、環境汚染で悪化するともいわれ、近年では排気ガスやPM2.5などの影響も受けてるとされています。有名な花粉症はアレルギー性鼻炎の中に含まれ、”原因が植物性””季節性がある”ことが特徴です。植物は別に写真でお示ししますが、それぞれ季節性があります。

アレルギー鼻炎が増えてきた訳は?

すぎ植林によるすぎ花粉の増加

昭和30年台我が国に盛んに杉の植林が行われました。それらが育って、花粉を多く着けるようになったのに加え、その手入れがなされず放置されていることが花粉量の増加をきたしています。花粉飛散量は前年度の日照時間や降雨量などに左右されるため、気象庁が発表する花粉情報が非常に有用です。

食生活の変化

食事性のアレルギーが生じやすい加工食品、高タンパク食の増加でアレルギー体質の方が増えたとされます。

住居の気密性

現代の住宅は非常に気密性が高く、ダニやハウスダストなどの増加を引き起こしました。これもアトピー性皮膚炎、や喘息とともにアレルギー体質を助長します。

大気汚染

乗用車の排気ガス中の粒子がアレルギーを起こしやすいことが知られています。

ストレスの増加

イライラストレスは自律神経を通じてアレルギー調節機構に不具合を生じます。

アレルギー性鼻炎の診断

問診(花粉カレンダー)

花粉症などアレルギー性鼻炎には必ず原因物質(アレルゲン)があります。花粉症なら時期と地域特性(花粉の飛散しやすい地域、地形)があります。いつどんな時に症状がでるかを記録することがアレルゲン決定に役立ちます。

視診、ファイバー検査

粘膜はみずみずしく晴れ上がっており、透明な鼻水がたくさんでています。

鼻汁好酸球検査

鼻の中に含まれる好酸球を顕微鏡で検査します。

採血検査(RAST)

アレルゲン(アレルギーの原因)を調べるためにIgEという値を調べます。

アレルギー性鼻炎の治療

・内服治療
・点鼻治療
・レーザー治療
・手術治療(後鼻神経切断術など)
・舌下免疫治療

舌下免疫療法

既に耳にした方も多いと思いますが、2014年から舌下免疫療法といってすぎ花粉エキスを舌下に投与し、免疫寛容状態(過剰反応を緩める治療)を作り出す治療が始まっています。以前から皮下注射で同様の減感作治療があったのですが、注射のストレスから解放され、安全性が高いとされています。年間2万円程度で保険適応がありますが、現在可能な認可施設が限られています。
方法はまず採血でスギ花粉のIgEが高い事を確認後、舌下に数滴の非常に薄いスギ花粉エキスを滴下し、反応をチェックします。(はじめの1回のみ院内で医師の指示の元行い、約30分経過観察します)問題なければ約2週間かけて維持量まで少しずつ濃度を濃くします。濃度調節の方法は決まっており、家庭で簡単に行います。2週間後に来院し、医師の診察後、維持量を約3年持続するというものです。
根気のいる治療ですが、他の治療と異なるのは”寛解”といって抗アレルギー剤の内服や点鼻が減らせたり不要となる可能性もあることです。
開始は花粉飛散時期以外の夏頃が妥当です。
当院もスギ花粉の治療医療機関に指定されています。
ちょっとひとこと
花粉症になりやすい人のセルフチェック項目(チェック項目が複数個あるときは要注意です!)
・親兄弟にアレルギー疾患(喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎)がある:アレルギーマーチといって幼少時にアトピー性皮膚炎や喘息があったひとは先のIgEが高いことが多く、花粉症になりやすいとされています。
・花粉を出す木の森が近くに存在する
・都会の幹線道路沿いで生活している
・胃腸が弱い方だ(下痢しやすい)
・食事が不規則で食べるものが偏りがち
・ストレスにさらされた生活習慣
・睡眠が熟睡できないほうだ

頬の痛み、頭重感、黄色い鼻水、のどに流れるねばっとした汁、鼻つまり:副鼻腔炎とは?

そもそも、副鼻腔炎(”蓄膿症”)とはどんな病気?

頭痛にはいろいろな病気が関わっていますが、黄色い鼻水が出る、鼻がつまる、においがわかりにくくなったまたは変なにおいがする、ほっぺたや後頭部、眉間が痛いという場合には、耳鼻咽喉科の出番です。
蓄膿とは文字通り、膿がたまるという意味ですが、どこに溜まるかというと、”副鼻腔”という鼻のそばにある空洞に溜まります。空洞はいくつかあり、ほっぺた(上顎洞)、眉間(前頭洞)、目の内側(篩骨洞)、頭の深部(蝶形洞)があります。”ちくのう”というのは俗称で、副鼻腔に起こる炎症のため”副鼻腔炎”というのが正式な医学用語です。頭痛や顔の違和感を感じる他、ひどい時は鼻出血がでたり、鼻呼吸ができない(ポリープが充満)、においがしない(においの中枢ににおい物質が届くのを障害するため)などの不快な症状を伴います。どの洞に炎症があるかによって、頭痛の場所が異なることが知られていますので、きちんと症状をお聞きします。
鼻の症状が強いと、耳鼻科を受診しますが、まずレントゲン(X線検査)で副鼻腔の状態を確認します。また、内視鏡で鼻の中を観察し、ポリープや腫瘍が無いことを確認します。
副鼻腔炎

CTまで必要な場合はどんな場合?

私は大学病院や市内基幹病院で頭頸部癌治療や鼻内視鏡手術を長い間行ってきましたので、ただの副鼻腔炎とはちょっと違う場合にどのようなものがあるか、少しお話ししたいと思います。

ほっぺたの空洞(上顎洞など)が片側だけ白く濁っている場合

歯からくる副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)、カビ菌が関係する副鼻腔炎(上顎洞真菌症)、乳頭腫(良性腫瘍)、そしてがん(上顎癌、篩骨洞癌など)などの可能性があります。
このような場合は、まずCT検査で骨の変化と、細かい空洞の状態を見極めるとが大切です。がんの場合、早期診断しないと大変なことになります。

喘息、アトピー性皮膚炎、などのアレルギー体質があり、においが悪くなったと感じる場合、なかなか治療しても良くならない場合

最近学会などで注目されている、難病の好酸球性副鼻腔炎という病気があります。好酸球は喘息などにも関係していますが、この特殊型副鼻腔炎の場合、CTで精密検査を行い、場合によっては内視鏡手術が必要となる可能性もあります。通常の副鼻腔炎と異なり、繰り返しやすく、なおりにくいことが特徴です。(好酸球性副鼻腔炎参照)
結局は患者さんのお話をよく聞き、考えられる病気をきちんと筋道たてて検査、治療していくという当たり前のことが、地域の方にお喜び頂けるもっとも大切なことではないでしょうか?是非当院にお任せください!

右の写真は当院のCTシステム:被爆量が通常の約7分の1、解像度は16倍で精密な骨病変の解析が可能です!

特殊な副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)について

近年、様々な研究から副鼻腔炎(蓄膿症)の中に、一度治ってもなかなか治らず、鼻のポリープが繰り返し発生し、においが悪くなったり、鼻づまりが取れなかったりする病気が明らかになってきました。患者さんは喘息をお持ちの方が多く、摘出したポリープには多数の好酸球という炎症細胞が認められるものです。組織検査を含めた診断基準を満たせば難病指定も可能ですが、まずは手術による検査治療が必要です。CTでは先にのべた4つの空洞のうち、両側対象性であり、篩骨洞中心の炎症を証明することが大切です。採血で好酸球の上昇も見られます。
治療はステロイドを用いたり、場合によっては手術を行いますので、診断をきちんとつけることが非常に大切です。九大や浜の町病院のスタンスとして、私は”鼻の手術は必要最小限に限り、他の保存的治療でどうしても治りにくいとき、症状が取れないとき”というスタンスを20年間貫いて参りました。不要な手術は患者さんを危険にさらすばかりか、”倫理原則”に反します。当院では最新のCTの情報と長年行ってきた手術経験から手術適応を判定することができます。

手術が必要な副鼻腔炎とは?

副鼻腔炎は手術でないと治りませんか?という質問をよくされますが、手術まで必要な副鼻腔炎はごく一部です。一般的なクリニックで撮影されるレントゲンでは正面から2枚撮影するだけで、各副鼻腔のどの場所が悪いかをはっきりさせることができませんし、炎症の程度や粘膜の腫れ、ポリープの有無もわかりません。施設によって考え方は異なりますが、私は、
・長期間(少なくとも数ヶ月以上)の治療に抵抗する場合
・腫瘍が疑われる場合
・鼻づまり、嗅覚障害や頭痛などの症状がひどい場合
・以前の手術で生じた嚢胞が痛んだり、腫れた場合
・好酸球性副鼻腔炎
などは手術をお勧めしていいのではないかと考えています。
手術適応をはっきりさせる意味でも、当院ではCTが重要になってくると考えています。

鼻から血が出る(鼻出血症)

鼻出血の原因と対処法は?

突然の鼻出血にびっくりしない人はいません。テレビ番組でも鼻出血の対処法がよく出てきます。鼻は特に血流が豊富な場所ですので、血圧が高くなったり、鼻をいじりすぎたりすると出血しやすくなります。アレルギー性鼻炎や蓄膿症が原因の場合はその治療が優先ですし、腫瘍などが疑われる場合には精密検査が必要です。
出血時には、まずは、”気持ちを落ち着かせる”ことが大切です。人間だれでも赤い血をみるとびっくりして血圧が高くなるようにできています。ゆっくり深呼吸して次のことを行ってみましょう。

してはいけないこと

■首の後ろをとんとんと叩く
むかしからこのような動作動作をする人がいますが、これは全く有効ではありません。そもそも叩くことでとまる理由がないばかりか、血圧をあげることでかえって良くない場合もあります。
■ティッシュを奥まで詰め込む
ティッシュの顕微鏡写真を見たことがありますか?ティッシュは実は非常に先が尖った部分があり、繊細な粘膜をかえって傷つけることがあり、急いで詰め込むのはお勧めできません。私も勤務医時代にティッシュの詰め過ぎでぼろぼろになって来院されたため、なかなか止血が難しかった患者さんの経験もあり、注意が必要です。
■横になること
横になってゆっくりすることは血圧のためには良いのですが、出血が激しい時はのどに血液がどんどん流れ込むことで嘔吐したり、呼吸がしづらくなったりするので、基本前屈みの姿勢が良いと思います。
■勢い良く痰やのどの血液を吐き出すこと
刺激で出血がなお激しくなります。ゆっくり静かに口から出してください。

したほうがよいこと

鼻出血の場所によって、対応が異なりますが基本は次の考え方です。
”指で小鼻をしっかり挟み込む。前屈みになってのどの奥へ血液が流れないようにする”
”その姿勢を少なくとも5分以上持続する”
出血はほとんどが鼻筋(鼻中隔)の入ってすぐの場所から出ているものです。まずはこの原則を思い出してください。
それでも、血液さらさらや、高血圧の方はなかなか止まらない場合があります。
また、通常より奥からの出血や腫瘍性の出血もこの原則で止まりにくいとされています。

鼻出血の治療

まずは血圧を測定し、内服薬、基礎疾患(高血圧があるか)、繰り返しているかなどを問診します。
次に局所麻酔のスプレーをした後、止血ガーゼを鼻に挿入します。しばらく待って出血が落ち着いたら、ガーゼを詰め直したり、電気メスで凝固止血します。
腫瘍や炎症の評価を、鼻腔ファイバーで確認する場合もあります。
いずれの場合も処置中は嫌なものですが、可能ならリラックスして、目をギュっと閉じない方が操作は確実です!

鼻出血をきたす病気

・鼻中隔からの出血(キーゼルバッハ出血)
・アレルギー性鼻炎
・副鼻腔炎
・鼻ポリープ(鼻茸)
・鼻副鼻腔がん
・血液疾患
など

においがしにくい(嗅覚障害)

嗅覚障害(においがしにくい)の原因は?

いいにおい、悪いにおい。においにはいろいろありますが、実は人間が原始時代から大切に受け継いだ感覚であることをご存知でしょうか?
太古の昔、他の動物のにおいや、食べ物が食べていいかどうか、腐ってないかなど嗅覚は命を守るために大切な感覚だからです。
嗅覚はどのように感じるのでしょうか?嗅覚の感じ方を調べることで嗅覚障害の原因が見えてきます。
・中枢性嗅覚障害:においを分析する中枢である脳の障害で生じます。脳腫瘍や加齢による脳機能の低下によるものです。
・末梢神経性嗅覚障害:嗅覚を司る嗅神経そのものの障害で、風邪等のウィルスによるものが多く、他には外傷や抗がん剤などの薬でも生じます。
・呼吸性嗅覚障害:鼻が変形して狭かったり、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの炎症で腫れて通路が塞がれたり、腫瘍やポリープで通路が無くなったりすると生じます。好酸球性副鼻腔炎でも生じます。手術適応となることがあります。
 

嗅覚障害の治療は?

治療は基本はビタミン剤投与とステロイド局所療法(点鼻)です。副鼻腔炎がひどい時は、抗生物質少量長期投与、亜鉛などの微量元素不足には補充投与、ポリープが鼻を狭くした時には手術と様々な治療があります。
もっとも適した治療方針を提示できるようにCTの活用も必要です。
ちょっとひとこと
アロマテラピー:香りの医学
集中力向上、殺菌作用(抗ウィルス作用)、緩和ケアにも有用とされています。
香りの効能は精神安定や免疫力向上、自律神経安定などさまざまは作用が知られ、体の恒常性維持(ホメオスタシスといいます。)に役立つとされます。
当院ではリラックス効果と、治療効果の両面からアロマテラピーを導入しています。
みみ・はな・のど・くび