新しい咳止めの治療薬(コロナ後遺症:”ロングコロナ”とは?)

コロナ感染後は様々な後遺症に悩まされる患者さんが数多くその症状も多彩です。

 

まだコロナ初期の2020年ごろ有名になったのは嗅覚障害ですが、2023年現在オミクロン株を中心としたコロナで神経性の嗅覚障害を生じることは少なく、コロナ後副鼻腔炎の後鼻漏など別の理由で嗅覚障害が生じることが多いようです。他に後遺症としては全身倦怠感、脱毛、めまい、難聴などがありますが、やはり一番頻度が高いのが長く持続する咳で、かなりお困りの方がおられます。このようなコロナ感染後に長く残る症状を伴う病態をまとめて”ロングコロナ”と呼びます。

風邪などで一時的な場合はともかく長く続く咳は体力を奪われるため、本人は意外ときついことが多いものです。近年はコロナ感染が”うつされるのでは”と咳をする方もされる方も気を使う場面が多く、心理的なストレスも考えねばなりません。

”せき”は何故起こるのでしょうか?まずは一番気にしなければならないのは肺がんなどの命に関わる疾患でしょう。呼吸器内科で画像診断が必要ですが、特に喫煙歴のある方はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を含めてきちんと咳の原因を同定することが重要です。

 

では、コロナ後の咳はどのような原因が考えられるのでしょうか?

下の図をご覧ください。

一般的に3週間までの急性期には感染に伴う咳が割合として多いのですが、8週間を超える長期間の咳(慢性咳嗽)では咳喘息や副鼻腔炎の後鼻漏、逆流性食道炎、アレルギー咳、COPDなどの割合が高くなります。

コロナ後も初めの数週間超えて持続する場合、呼吸器内科や耳鼻咽喉科で咳の原因をチェックすることが必要です。

耳鼻科的には先にお話しした”コロナ後副鼻腔炎”による後鼻漏が無いか、喉頭ファイバーで逆流性食道炎の所見が無いか(専門用語でGERDといいます)、アレルギー採血でハウスダストなどのアレルゲンに強く反応していないか、を調べる必要があります。原因がわかれば、胃酸の分泌を防ぐお薬を数週間内服したり(PPIテスト)、副鼻腔炎なら抗生剤投与したり、アレルギー反応を抑える吸入や内服薬(抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬など)を投与して様子を見ます。それでもさらに治りが悪いものを”難治性咳嗽”といい、近年咳の伝導を抑える画期的な薬もできました。

 

リフヌア®️はC線維という咳に関わる神経伝導をブロックするお薬ですが、原因疾患の治療に抵抗する長く持続する咳に適応があり、その効果は評価されています。ただし、内服中味覚障害が一時的にでることが多く、注意が必要です。味覚障害はお薬をやめれば速やかに改善しますので心配いりませんが、重要なのはすぐにリフヌアに頼るのではなくまずは咳の原因をきめ細かに精査することです!

 

治りの悪い咳の治療に関しては、新見先生の論文が非常にわかりやすく一部を引用させていただきます。(新見ら、明日の臨床、2012)

秋の雲は雲が柔らかくとても綺麗です!

 

9月は季節外れのインフルエンザが猛威を奮っており、十分に休養と栄養に気をつけてくださいね!

 

 

2023年09月24日