地震酔い(地震後めまい症候群/動揺病)について

日本は4つのプレートが交差する場所に位置しているため、世界的にみても常に大きな地震のリスクにさらされています。

先日も宮崎沖で地震が発生し、南海トラフ地震の関連が心配されました。

福岡でも2005年3月20日午前10時53分に福岡県北西沖玄界灘を震源とするマグニチュード7.0の地震が発生し、被害は少なかったものの多くの物的被害が生じました。その後から”地震が起こってないのに揺れている感じがする””何が常にフラフラして気持ち悪い”という患者さんが多く受診されました。

当時私は九州大学病院に勤務していたのですが、外勤先で多くのめまい患者さんを診察したのを覚えています。近年乗り物酔い(動揺病)の研究も進んでおり、その関連疾患として

地震後めまい症候群(Post Earthquake Dizziness Syndrome: PEDS)

という病態が明らかになってきました。

これは大地震を経験した人が特に地震がない時でも常に地面が揺れているように感じる病態で、地震時に感じた揺れを深部知覚や前庭の情報として”動揺感覚の蓄積”が生じ、不安などの心理的ストレスを引き金としてあたかも揺れているような感じが持続するものです。

中でも、乗り物酔い(動揺病)を起こしやすい、心配性、運動不足の方に多いとされ、数ヶ月の経過で自然に消退するとされています。

治療法はめまい薬、抗うつ・不安薬などとカウンセリングが中心になります。

また、不安を煽るテレビなどの画像情報やSNSなどをできるだけ見ないようにすることや、めまい自覚時には体を動かし足元ではなく遠い景色を眺めること、適度な運動習慣や良質な睡眠に気をつけることも重要です。

 

2024年10月29日