今年はすぎ・ひのきともに去年より飛散量が多く平年並みの症状が出た方が多かったようです。特に2月末には非常に混み合う日があり、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
さて、今年度のすぎ・ひのきの舌下免疫療法(シダキュア)とすぎ合併のハウスダスト(ミティキュア)舌下初回治療を6月1日に開始します!
採血ですぎの感作(アレルギー反応)をお持ちの方には、すぎ・ひのき飛散後の開始が望ましいため、5月末までは安全のため開始できませんでした。なお開始初日は十分な説明と、院内観察(約30分)が必要なため、平日の午後2時から4時までの来院をお願いしています(2回目からは土曜日でも、夕方朝でも再来可能です!)長期にわたる治療のため、待ち時間が短くなる工夫をしていますので、受付までお問い合わせくださいね!安心して治療を継続していただいています。
近年の研究で特にアレルギーマーチが予測される10歳以下のお子さんと、将来妊娠可能性のある若い女性の舌下免疫療法が推奨されています。また、すぎ・ハウスダスト(ダニ)療法の舌下免疫療法(”ダブル免疫療法”)も推奨されています。
舌下免疫療法は従来の薬物療法と全くコンセプトが異なり、根本的に体質を改善する可能性がある数少ない治療の一つです。そのため2020年改定の鼻アレルギー診療ガイドラインでも、従来の薬物療法、内視鏡手術療法と並んでアレルギー性鼻炎治療の3本柱のひとつになっています!
当院は舌下免疫療法認定施設として、福岡県でも有数の症例数のクリニックです。(2021.5現在、終了した方も含めて約700例)患者さんの数が多いということは、有効性や副作用に関してもより情報量が多いということでもあり、安心して治療していただいています。
まず、現段階での有効性です。現在までのデータですが、抗アレルギー薬の減量や中止を基準に著効、有効、やや有効、無効の4つに分類すると、”やや有効”以上が81.7%と従来の報告よりやや高い印象があります。当院での舌下免疫療法は看護師からの概要説明のみならず、直接医師から有効性、注意点、副作用などが説明され、十分な治療コンセプトの理解の後に開始していますので、途中の患者さん都合による中断(ドロップアウト)が非常に少ないのが特徴です(継続96.5%)。副作用は、逆に思っていたよりはるかに少ない印象で、中止した中止理由は皮疹、喘息発作、呼吸困難感、頭痛、全身のかゆみ、下痢、倦怠感などでしたが、700人中数人のみでした。最近は投与方法に工夫が生まれており、副作用が強い方には”吐き出し法”といって舌下に置いたものを吐き出すことで副作用が軽減し、通常容量で継続できるようになってきました。注意点は、喘息やアトピー皮膚炎を合併している患者さんへの投与ですが、呼吸器内科、小児科、皮膚科の先生との連携で特に問題なく継続できている患者さんがほとんどです!
関係する先生方にお世話になり、本当に感謝申し上げます。この場を借りてお礼申しあげます。
ダニ舌下免疫については抗原量が10000単位とスギ舌下免疫より多いため、やや副作用に注意が必要ですが、逆に近年、アトピー性皮膚炎や喘息の根治治療としての可能性も指摘されており、当院からの臨床データーも解析中です!
近年、好酸球性副鼻腔炎との関与も解析中で今後の最終データが待ち遠しいです。
おこさまにも安心してできる舌下免疫治療、ご相談お待ちしております!
当院に小さい頃から通ってくれている男の子も、5歳になり舌下免疫開始になりました!長い治療になりますが、頑張って続けてくださいね!!
なお今年度分は11月末ごろ”開始受付”を終了する予定です。