慢性副鼻腔炎の炎症には実は2つのタイプがあることをご存知でしょうか?
一つは細菌などの感染が中心のtype1炎症と、いま一つは好酸球などのアレルギー原因物質によって生じる”治りの悪い”type2炎症です。前者はマクロライド系抗生物質の少量長期療法や漢方療法、ネブライザー療法、鼻うがいなどが有効ですが、後者の副鼻腔炎のひとつである好酸球性副鼻腔炎は文字通り好酸球の粘膜下炎症による鼻茸(鼻腔ポリープ)が存在することが特徴で、非常に治りが悪いことが知られています。
従来こうした”難治性副鼻腔炎”は”polysurgery(頻回手術)”が問題になり、手術しても手術しても鼻茸が湧いてきて、嗅覚障害、頭痛、鼻閉などが繰り返していました。この炎症やポリープはステロイドに反応しますので、ステロイドを飲んでいる間はいいのですが、やめるとすぐ症状がぶり返すため、ステロイドの長期内服の必要が問題となっていました。ステロイドは長期内服で副腎機能が低下したり、感染を起こしやすくなります。また糖尿病などの悪化にも関係します。
近年、こうしたtype2炎症の分子レベルでの病態が明らかになり、サイトカインというメッセンジャー分子の異常信号が治りを悪くしていることがわかってきました。少し専門的になりますがインターロイキン(IL)4/13がキー分子であるとされます。(図:サノフィ社HPより)これらの活性化は炎症を強く起こし、数々の困った症状を引き起こします。
今回ご紹介する新しい治療は、polysurgeryを回避し手術せずに安定して寛解(症状が落ち着いていること)を維持できる画期的な分子標的治療で、インターロイキン(IL)4/13を抑制することで効果を発揮します。
従来重症喘息や重症アトピー性皮膚炎に用いられてきたものの、適応拡大で好酸球性副鼻腔炎にも保険で使用できるようになりました。(高額のため、難病指定をお勧めしています。)
デュピクセント®️という皮下注射薬で高額な薬であるため使用には厳しい条件があるものの、病理組織学的に難病指定されかつ最低1回の鼻の手術歴があれば再発した好酸球性副鼻腔炎に使用可能です。効果は絶大で、数ヶ月で再発した鼻茸による嗅覚障害、頭痛など不快な症状が緩和され、再手術が不要となることが多いのが特徴です。難病指定に関しては医師までお尋ねください!
好酸球性副鼻腔炎の診断と経過観察には副鼻腔CTが必須です(重要なのは診断にもCTが必要であることです)。
言い換えれば、CT検査をしないと診断すらおぼつきません。当院は低被曝が特徴の副鼻腔専用CTを完備していますので、喘息などのアレルギー体質をお持ちで嗅覚が落ちたり、治りが悪い副鼻腔炎の方は是非ご相談ください!
CT検査は数十秒で行うことができますが、保険診療でCT検査だけで(3割として)3000円ほどかかりますのでご留意のほどよろしくお願いします。
南区弥永公民館で”アレルギー性鼻炎のお話”をさせていただきました。
多くの市民の方に耳を傾けていただき、質問もたくさんいただきました!
みなさんにとってアレルギーは非常に身近なお悩みであることがよくわかりました。
アレルギー性鼻炎の基本治療は内服点鼻ですが、舌下免疫療法や外科的手術のお話にも多くの関心が集まりました。
職員研修のため、8月22日はネット、窓口ともに受付時間を16時30分までとさせていただきます。大変ご迷惑をおかけしますがご理解のほど宜しくお願いします。
暑い日が続いておりますので水分摂取、体調管理には十分お気をつけください。
夏の雲は幻想的ですが、暑さが本当に過酷ですね。。。
午前8時現在台風6号の強風域ですが、当院が明日からお盆休みのため患者さんの便を考え、本日通常通り診療を行います。
来院はご無理なき範囲でお願いします。
お盆明けは16日水曜日から診療再開します。