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2023年インフルエンザワクチン予約について

お問い合わせが多い今年度のインフルエンザワクチン予約ですが、

予約開始10月3日(火曜日)、接種開始10月17日(月曜日)となりますのでよろしくお願いします!

ワクチンは自費診療で保健証が使えませんのでご留意ください。

費用は一律3500円ですが福岡市在住65歳以上の方は1500円です。

12歳までのお子さんは数週間開けて2回接種が推奨されています。

卵アレルギーなどの当院接種不可能な場合もありますので、アレルギーある方はあらかじめご相談くださいますようよろしくお願いします。予約は来院、お電話ともに可能ですが予約枠があり、埋まり次第終了となります。また土曜日の予約はできませんのでよろしくお願いします。

 

現在10月30日までハローウィンのデコレーション中です!

2023年09月30日
新しい咳止めの治療薬(コロナ後遺症:”ロングコロナ”とは?)

コロナ感染後は様々な後遺症に悩まされる患者さんが数多くその症状も多彩です。

 

まだコロナ初期の2020年ごろ有名になったのは嗅覚障害ですが、2023年現在オミクロン株を中心としたコロナで神経性の嗅覚障害を生じることは少なく、コロナ後副鼻腔炎の後鼻漏など別の理由で嗅覚障害が生じることが多いようです。他に後遺症としては全身倦怠感、脱毛、めまい、難聴などがありますが、やはり一番頻度が高いのが長く持続する咳で、かなりお困りの方がおられます。このようなコロナ感染後に長く残る症状を伴う病態をまとめて”ロングコロナ”と呼びます。

風邪などで一時的な場合はともかく長く続く咳は体力を奪われるため、本人は意外ときついことが多いものです。近年はコロナ感染が”うつされるのでは”と咳をする方もされる方も気を使う場面が多く、心理的なストレスも考えねばなりません。

”せき”は何故起こるのでしょうか?まずは一番気にしなければならないのは肺がんなどの命に関わる疾患でしょう。呼吸器内科で画像診断が必要ですが、特に喫煙歴のある方はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を含めてきちんと咳の原因を同定することが重要です。

 

では、コロナ後の咳はどのような原因が考えられるのでしょうか?

下の図をご覧ください。

一般的に3週間までの急性期には感染に伴う咳が割合として多いのですが、8週間を超える長期間の咳(慢性咳嗽)では咳喘息や副鼻腔炎の後鼻漏、逆流性食道炎、アレルギー咳、COPDなどの割合が高くなります。

コロナ後も初めの数週間超えて持続する場合、呼吸器内科や耳鼻咽喉科で咳の原因をチェックすることが必要です。

耳鼻科的には先にお話しした”コロナ後副鼻腔炎”による後鼻漏が無いか、喉頭ファイバーで逆流性食道炎の所見が無いか(専門用語でGERDといいます)、アレルギー採血でハウスダストなどのアレルゲンに強く反応していないか、を調べる必要があります。原因がわかれば、胃酸の分泌を防ぐお薬を数週間内服したり(PPIテスト)、副鼻腔炎なら抗生剤投与したり、アレルギー反応を抑える吸入や内服薬(抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬など)を投与して様子を見ます。それでもさらに治りが悪いものを”難治性咳嗽”といい、近年咳の伝導を抑える画期的な薬もできました。

 

リフヌア®️はC線維という咳に関わる神経伝導をブロックするお薬ですが、原因疾患の治療に抵抗する長く持続する咳に適応があり、その効果は評価されています。ただし、内服中味覚障害が一時的にでることが多く、注意が必要です。味覚障害はお薬をやめれば速やかに改善しますので心配いりませんが、重要なのはすぐにリフヌアに頼るのではなくまずは咳の原因をきめ細かに精査することです!

 

治りの悪い咳の治療に関しては、新見先生の論文が非常にわかりやすく一部を引用させていただきます。(新見ら、明日の臨床、2012)

秋の雲は雲が柔らかくとても綺麗です!

 

9月は季節外れのインフルエンザが猛威を奮っており、十分に休養と栄養に気をつけてくださいね!

 

 

2023年09月24日
亜急性壊死性リンパ節炎:菊池病(若い女性の痛い首のしこり)

首は髭を剃ったりネックレスをつけたりと比較的日常生活で触れることの多い場所です。通常首には”見張りリンパ節”が存在し、口や喉などの頭頸部の炎症に反応して大きくなったり小さくなったりを繰り返しています。

虫歯や口内炎ではしばしば顎の下にグリグリができ、抑えると痛い場合もありますが、これはもとの病変が縮小すれば次第におさまってくるのが特徴です。つまり炎症によるリンパ節病変の診断は時間を空けて再度診察を受けることが重要です!

 

亜急性壊死性リンパ節炎は1972年に我が九州大学の菊池先生が多数のリンパ節生検の標本を検討し、悪性リンパ腫と紛らわしいものの、良性のリンパ増殖性病変として報告したことが発端とされる病気であり、現在も国際的には名前を取って”菊池病”と呼ばれます。片側の痛みを伴うリンパ節腫大が特徴で、20歳から40代までの比較的若い女性に多く、比較的長い数週間の腫れで病院を受診されます。エコーで片側の癒合する多数のリンパ節があり、発熱、圧痛が中心です。抗生剤が無効、ステロイドがよく効きますが、先に悪性の除外を行うことが最も重要です。そのため、紛らわしい場合には針を刺して細胞を検査する細胞診も行います。

 

私は4年間九大病理学でリンパ節生検の病理診断を行ってきましたが、組織学的には様々な細胞が入り乱れて”多彩な”病理像をし呈します。悪性リンパ腫は均一な印象ですので生検で診断をつけますが、自然に縮小することが多いためしばらく対症療法でフォローすることが多いです。菊池病は自己免疫によるものと考えられており、人に感染ることはありません。

 

当院はがん治療認定医の院長が高性能エコーを用いて首のしこりの診断をつけます。

毎週火曜日午後は腫瘍外来で首のしこりのセカンドオピニオンを受け付けています!もちろんそれ以外の日でも診察させていただきますが、お話しする時間を取りたいので、土曜日以外にご来院いただければ幸いです。もちろんあらかじめ予約は必要ありませんが、当院初診の患者さんはカルテ作成などの関係で初回のみインターネット予約システムをご利用できませんのでご了承ください!

 

 

2023年09月14日