新型コロナウィルス感染症もまだまだ収束には程遠い状況です。適切な予防対策を講じながらも、それでもコロナ以外に患者さんを悩ませる病気は変わらずにあるので、専門医としてはなんとかお役に立てればと強く思っています。
その一つ、アレルギー性鼻炎は現在国民病と言われています。実に39.4%の方が何らかのアレルギーを有するとされていますが、特に花粉症は2月から5月にかけて、くしゃみ・鼻水・鼻づまりで患者さんは辛いものです。今年はたまたまスギ花粉飛散が少なくてすみましたが、それでも多くの方が症状に苦しみました。また、ハウスダスト(だに)アレルギーの方は朝のアレルギー発作(モーニングアタック)で年中ティッシュが手放せないことと思います。そこで最近はすっかり有名になった舌下免疫療法のお話です。
舌下免疫療法は従来の薬物療法と全くコンセプトが異なり、根本的に体質を改善する可能性がある数少ない治療の一つです。そのため、現在は従来の薬物療法、内視鏡手術療法と並んでアレルギー性鼻炎治療の3本柱のひとつになっています!
当院は舌下免疫療法認定施設として、福岡県でも有数の症例数のクリニックです。(2020.4現在、終了した方も含めて約500例)患者さんの数が多いということは、有効性や副作用に関してもより情報量が多いということでもあります。
まず、現段階での有効性ですが、著効、有効、やや有効、無効の4つに分類すると、抗アレルギー薬の減量や中止を基準にすると”やや有効”以上が82.7%と従来の報告よりやや高い印象があります。当院での舌下免疫療法は看護師からの概要説明のみならず、直接医師から有効性、注意点、副作用などが説明され、十分な治療コンセプトの理解の後に開始していますので、途中の患者さん都合による中断(ドロップアウト)が非常に少ないのが特徴です(継続97.3%)。副作用は、逆に思っていたよりはるかに少ない印象で、中止した中止理由は皮疹、喘息発作、呼吸困難感、頭痛、全身のかゆみ、下痢、倦怠感などでしたが、500人中数人のみであり、減量維持(10000単位を6600単位や3300単位に減量して維持)も数人程度でした。現段階では減量での効果減弱の報告はありません。注意点は、喘息やアトピー皮膚炎を合併している患者さんへの投与ですが、呼吸器内科、小児科、皮膚科の先生との連携でとくに問題なく継続できている患者さんがほとんどです!関係する先生方にお世話になり、本当に感謝申し上げます。この場を借りてお礼申しあげます。
ダニ舌下免疫については抗原量が10000単位とスギ舌下免疫より多いため、やや副作用に注意が必要ですが、逆に近年、アトピー性皮膚炎や喘息の根治治療としての可能性も指摘されており、当院からの臨床データーも解析中です!
写真のように、5月になってクリニックの植栽も元気に新緑が増えてきました!
舌下免疫については院内新聞”おやこあら新聞”第2号にも、詳しく書いていますのでそちらも参考にされてください!
さらに安全な舌下免疫治療を目指していきますのでいつでもお気軽にご相談ください!!(ダニに対する舌下免疫療法はいつでも可能ですが、今年度のすぎ・ひのきの舌下免疫療法解禁は6月の予定です。詳しくはお電話くださいね!)