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耳下腺腫瘍の診断と治療について(首のしこり)

当院に遠方からセカンドオピニオンで来られる患者さんでもっとも多いのが、首のしこり、頭頸部腫瘍の患者さんです。

中でも耳下腺腫瘍(おたふく風邪で晴れる耳の下にある耳下腺にできる腫瘍)の治療方針に関するご相談が多いのが特徴です。

私は約25年に渡り九州大学・九州医療センター・浜の町病院などで頭頸部癌の診断と治療にあたってきましたが、中でも特に耳下腺腫瘍・耳下腺癌の外科的治療に従事し、かつ耳下腺腫瘍診断の核心とも言える腫瘍病理診断を専門にしておりました。

耳下腺腫瘍は次の3点で治療が難しいとされています。

1)病理診断が複雑であること(現在2005年WHO診断基準で良性10種類、悪性23種類、悪性度のグレード分類があること)

悪性でも悪性度に差があり、低悪性度、中悪性度、高悪性度に分類され同じ癌でも治療方針(後治療として放射線治療や抗がん剤の必要性、顔面神経温存やリンパ節郭清手術の必要性)が異なる非常にバリエーションが多いのが特徴です!

2)希少性から治療方針の施設間の差があること(治療方針がまちまちであること)、症例数がハイボリュームセンター(たくさん治療をしている施設)でも悪性症例は多くて年間数十例程度であること。

3)顔面神経が耳下腺内を網目のように走行し、手術が顔面神経麻痺のリスクに常にさらされていること

 

では、治療方針を決定する上で重要なのはどのような点でしょうか?

一口で言えば”正確な悪性度判定による手術の必要性と緊急性評価”です。

上の述べたように耳下腺腫瘍は悪性でも治療方針決定で悪性度が問題となります。例えば顔面神経を切断するかどうか、腫瘍のスピードが速いため早く治療した方がいいか?

組織学的悪性度と病理組織診断は最終的には摘出標本で決定するしかありません。術前により正確な診断に近づくためにはエコー検査のみでは不十分で、細胞診と造影MRIが必要です。加えて手術中に組織診断を追加する術中迅速組織診の有用性が指摘されています。

いずれにせよ、専門性が非常に高いため経験豊富な医師に相談することが大切です!

当院は白土院長が火曜日午後頭頸部腫瘍専門外来を行なっていますので、ご相談ください!

2024年01月08日
嗅覚トレーニング法について

匂いは生活に潤いを与えるのみならず、腐敗臭やガスの匂いなど命に関わる情報も与えてくれる重要な知覚です。

コロナ流行初期で一躍その存在がクローズアップされた嗅覚障害。では匂いはどのようにして感じるのでしょうか?

 

そこで嗅覚のリハビリテーションが最近、注目されています。

においの神経細胞である嗅細胞は非常に高い再生能力を持っていて、嗅細胞に刺激を与えると再生しやすくなることが報告されています。簡単に言うと、強いにお いかぐ訓練を続けていくと、においが戻りやすくなるということです。具体的な方法として、4種類の アロマのにおいを朝晩2回嗅ぐ練習が勧められています。院内でアロマの販売は行っておりませんが、インターネットの生活の木とい うサイトで4種類のアロマをセットにした嗅覚トレーニングセットが販売されています。具体的な方法の動画もありますので、興味のある方は検索してみてください。また、アロマに限らず、日頃の生活の中で、例えば湿布のにおいやカレーのにおいなど、最初はにおわなくても強いにおいをかごうと練習することが回復に役立ちますので、日々の生活の中で是非取り組んでみてください。

 

話は変わりますが認知症は海馬の萎縮と関連が深いとされていますが、近年海馬と嗅神経は連携し、嗅神経の刺激は記憶中枢を活性化することで認知症の改善に有効であるという報告が多くなっています。昼間は柑橘系でリフレッシュ、リラックスで夜がラベンダーを嗅いで嗅覚訓練することで認知症の予防につながっています。

 

参考HP:生活の木 https://www.treeoflife.co.jp/library/lifeware_lounge/others/202107297862.html

2024年01月08日