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HIKAKIN(ヒカキン)さんが病名告知した好酸球性副鼻腔炎とは?

先日ユーチューバーのHIKAKIN(ヒカキン)さんが自ら病名告知したことで今後関心が高まると思われる病態ですが、当クリニックは以前から好酸球性副鼻腔炎にはブログなどで度々触れてきました。

簡単に言えばなおりの悪い副鼻腔炎の一群で、原因が好酸球炎症による副鼻腔炎です。近年副鼻腔炎はtype1から3までの3つのタイプに分類されることが国際的に推奨されており、type1/3と異なり炎症が持続し鼻茸を伴うことで非常になおりを悪くしたり、繰り返したりします。血液検査とポリープの病理検査で好酸球が増加してCTで篩骨洞という目と目の間の副鼻腔により強い反応が認められれば確定診断となります。

特徴はHIKAKIN(ヒカキン)さんがおっしゃっていた通り喘息や嗅覚障害、鼻詰まりや頭痛を伴い、薬でなかなかよくなおりにくい副鼻腔炎でまずは手術が必要ですが、術後も繰り返すのが特徴です。

type2炎症は主に炎症マーカーのIL4/13,IL5に関係し、好酸球が炎症の主体であることが特徴です。反復する鼻茸(ポリープ)で嗅覚が障害されたり、頭痛、鼻詰まりで日常生活に支障を来します。一度の手術で治らないことが多いのも特徴で、全員ではありませんがなおりの悪いタイプが存在し難病指定される方もおられます(全員ではありません)。

当院はCTを完備しており、好酸球性副鼻腔炎の診断が可能ですので御不安な場合はご相談ください。

当院では手術は行なっておりませんが、適切な治療方針をお示しします。

また、難病指定後に再発したポリープには注射剤(生物製剤)での手術以外の治療法があります!

篩骨洞優位の鼻腔ポリープ像(当院の好酸球性副鼻腔炎治療中の患者さん)

鼻腔内に充満する鼻腔ポリープ(当院の好酸球性副鼻腔炎治療中の患者さん)

生物製剤治療後の同一症例(鼻ポリープ消失)

当院の低被曝高解像CT装置

 

2024年11月21日
速報!ノーベル医学賞と舌下免疫療法

大阪大学特任教授の坂口志文さんが2025年ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。日本人としては6人目の快挙です!

坂口さんはTreg(制御性T細胞)と言って、過剰な免疫反応を抑制・制御する免疫担当細胞を発見・解明することで主にアレルギー自己免疫疾患(膠原病)の病態解明、治療の礎を築かれました。

当院で力を入れている舌下免疫療法の治療理論も免疫寛容(過剰な自己免疫によるアレルギー反応を抑えること)に制御性T細胞の関与があることに基づいた治療です。いくつかの研究で舌下免疫治療を行なった患者さんは抗原特異的(アレルギー原因物質に限って)免疫細胞中の制御性T細胞が増加していることが報告されています。

患者さんに日頃通常に用いる治療の礎を築いてくださった研究者のおかげで、病気を抑える治療に応用できる技術を人類は数々持っていると考えると、本当に基礎研究に従事する研究者に頭が上がりません!日本の医科学の基礎研究がさらに発展されるのを祈念しています。

 

 

2024年11月07日